Research07 - 昆虫遺伝研究室 - 東京大学 - 公式ウェブサイト

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驚くべき偏食の生物、カイコ

山野 峻 (M2)

 睡眠。性別。食。

 これらは生物を理解する上で欠かせないものだ。

 当研究室ではモデル生物であるカイコを用いて食性を研究している

 誰しも嫌いな食べ物はあるだろう。小生の場合はチンゲンサイが苦手だ。あのえも言われぬ風味と食感が好きでない。とは言う物の、両親のしつけによりその強敵を克服し、いまでは完全雑食性である。多くの昆虫はクワを食べることができない。これは単なる好き嫌いによるものか、否。クワに含まれる毒素にやられてしまうため、食べれば死んでしまうのである。一方でカイコはクワを食べる。むしろクワしか食べないと言っても過言ではない。この差が生じる原因は親のしつけによるものではないだろう。小生はこの違いが何故生じるのか、その原因を究明したいと思っている。

 昆虫の食草は進化とともに変化すると考えられている。カイコの食草はクワだが、カイコと近縁な昆虫であるイチジクカサンの食草はクワではなくガジュマルである。近縁昆虫と寄主植物との関係を鑑みるに、カイコはクワへの適応進化を果たしたと考えられる。

 このような食草の転換には複合的な形質の変化が必要だ。食草を見つけるための嗅覚や味覚の変化、植物の生体防御機構に対抗する手段の獲得などである。小生は後者のテーマの中でも、特に消化酵素に着目した研究を行っており、消化酵素の遺伝子の発現解析やウイルスで作製した酵素の性質の酵素学的解析などあらゆる手段でこの謎に立ち向かっている。

 地球上に存在する種の75%は昆虫である。世界で最も繁栄した昆虫という生物の進化の謎を解き明かし、進化学の世界に新たな1ページを追加したい。

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