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カイコの性決定・性分化メカニズムの解明

古賀 光 (M2)

 「性」は万人共通の関心事ですね。私は国際交流が好きですが、「性」に関する話題でしたら世界共通で分かり合う事が出来ます。

 さて、そもそも男女はどのようにして決定されるのでしょうか。

 私たちヒトは男XY、女XXの性染色体構成であり、Y染色体上に存在するSRYが発現することで男性へと性分化することが分かっています。一方で昆虫であるカイコはどうでしょう?皆さんが高校で学習されたようにカイコの性染色体はメスWZ、オスZZの性染色体構成を有しています。

 これまでの研究からカイコではW染色体が存在すればメスになるということが分かっています(Hasimoto, H. 1933)。よってW染色体上にはメスを決定する遺伝子(Fem)が存在すると考えられていましたが、W染色体からのタンパク質コード遺伝子はおろか、転写産物すら長い間同定されませんでした。

 近年、私たちの研究室ではW染色体からの転写産物を初めて同定し、W染色体がpiRNAの巨大なソースであるという知見を得ました(Kawaoka, S. et al. 2011)。 piRNAとは何でしょうか?piRNA はPIWI interacting RNA の略で23から30塩基程度の小分子RNAです。

 これまでにpiRNAは主に生殖巣のみで発現して、ゲノムを利己的に飛び回る因子であるトランスポゾンの転移を抑制するために働くと考えられてきました。しかし、私たちはこのメスで多いpiRNAが性決定というダイナミックな事象に関与しているのではないかという新しい仮説を立てて研究に取り組んでいます。

 カイコの性決定機構を解明し、ひいては重要な農業害虫である鱗翅目昆虫全体の性決定メカニズムや性操作技術の確立にせまるべく日々実験を行っています。「性」が好きな方や小分子RNAの新たな機能に興味がある方は是非、昆虫遺伝研究室に足を運んでみてください。