生物群集の多変量解析の応用


 現在見られる生物群集が、場所によってどのように違うのか明らかにしたり、特 定の環境条件に対応した生物群を見つけだしたりする上で、多変量解析は有効な手 段となります。生物群集の調査結果に対する多変量解析をとりいれた、地域の環境 評価、環境管理、環境計画の手法の開発を進めています。


生物群集の多変量解析とその地域環境計画への応用。

加藤和弘(1996):ランドスケープ研究60(1),46-55。

 都市や農村における環境計画では、生物群集やその生息地の保全・再生は重要な 課題の一つである。計画対象地域で生物群集調査を行い、得られた種組成のデータ に多変量解析を適用することで、生物群集や生息地の現状を把握し、計画策定のた めの判断材料を得ることができる。多変量解析により可能な作業として、計画対象 地域の生物相の広域的な位置づけ、対象地域内部の環境構造の把握、生息地(また はビオトープ)地図の作成、計画代替案の有効性の相互比較、環境モニタリング対 象種の選択などをあげることができる。本論文では、多変量解析による生物群集分 析の可能性を既往研究に基づき整理し、実際の地域環境計画への応用について考察 した。



生物群集分析のための序列化手法の比較研究

加藤和弘(1995):環境科学会誌 8,339-352。

 生物群集の種組成の変化のパターンを分析し、群集に影響を及ぼす環境要因を明 らかにしたり、その環境要因から見た地域の環境評価、環境計画を支援するために、 種組成データの多変量解析による分析が利用されている。本研究ではそのうちの序列 化に焦点を当て、主要な手法の有効性を比較、検討した。既に研究され、種組成の変 化のパターンとその環境要因がわかっている生物群集データ2セットを、よく利用さ れている6つの序列化手法、主成分分析、反復平均法、DCA、多次元尺度構成法、 BC序列法、およびCCAにより分析し、結果を比較した。種組成のデータの他に環 境条件のデータを必要とするCCAについては、種組成とは無関係の環境条件に関す るデータが計算結果に与える影響を知るために、一部またはすべての環境条件のデー タを乱数に置き換えての計算も行った。得られた結論は以下の通りである。種組成の変 化の幅が狭い場合(総種数がサンプルあたり平均種数の3倍前後またはそれ以下)には、 データを対数変換した上での主成分分析が適当であり、DCAと多次元尺度構成法がこ れに次ぐ。種組成の変化の幅が広く、かつその環境要因が相互に独立である場合には、 DCAが適当である。種組成の変化の幅が広い場合でも、その環境要因が互いに連関し て変化している場合には、DCAは誤った結果を示すことがあり、反復平均法との相互 検証が必要になる。多次元尺度構成法はおおよそ常に歪みの少ない結果を出すが、類似 度指数の選択により結果が左右されるうえ、サンプル(地点)の序列と種の序列が独立 に計算され、不便である。CCAは、種組成の変化に関与する環境条件に関するパラメ ータが計算に用いられている場合は、他の手法以上に効果的である。そうでない場合に は妥当な結果を得ることができず、種組成とは無関係の環境条件に関するパラメータに 由来する軸の固有値は、ごく小さな価を取ることが示された。


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