生態的回廊
動物の生息地が相互につながっていることにより、その全体の質が向上すると
いう考え方があります。この考え方に基づき、生息地を連結し生物の移動路とし
て役立たせるための空間「生態的回廊」や、それによって生息地(ビオトープ)
を連結する「ビオトープネットワーク」の整備が提案されています。ヨーロッパ
では一部で実行されてもいますが、その有効性やマイナス面に関する実証的な研
究はまだこれからです。緑地のあり方の一つとして「生態的回廊」をどのように
形成すべきか、あるいは形成すべきでないか。これからの緑地学における大きな
問題に発展する可能性を持つテーマです。
生態学の視点で見た都市・農村計画−特に「生態的回廊」について。
加藤和弘(1995):環境研究 98、125-132。
生息地の間の連結性に関わる問題
- 生息地間の連結性が、群集の種多様性の維持や個体群の存続に貢献している。
- 生息地間の連結性は、見かけの上でのつながりではなく、実際の個体の移動によって評価される。
- 生息地間の連結性を高めるために、生態的回廊と呼ばれる空間の整備が検討されている。
- 生態的回廊として、欧米の農村にあるヘッジロウが注目されているほか、道路や鉄道に沿った空間なども生態的回廊となる可能性がある。
生態的回廊が備えるべき条件
- 植生の構造が適切であること。地上を歩行して移動する種類が対象であるなら、地表が完全に隠されるように草本、低木が繁茂した植生が望ましい。樹林性の鳥類の移動は、連続した高木列によって促進される。
- 回廊の幅が適切であること。幅が狭すぎると、周囲の空間との相互作用が激しくなり、回廊内での捕食圧が高まったり、回廊の植生の維持が困難になったりする可能性が強まる。幅が広くなると、移動路としての効率が低下することがある。
- 回廊の長さが適切であること。回廊が生息地の代わりでない以上、長すぎる回廊は移動の途中での捕食圧を高めるなど、生物の生存に対する危険性を高める可能性がある。
- 回廊が連続して存在すること。
- 回廊が人間活動の影響を受けにくいこと。
生態的回廊の計画に際しての考慮事項
- 生態的回廊が対象とする生物を明らかにする。
- 元々あった生息地間の連結性の復元を旨とし、元々なかった回廊を設けないようにすること。
- 生態的回廊は、一部の生物にとっては小規模な生息地であることにも配慮すること。
- 生態的回廊が目標達成のために最適な手段であるかどうか、判断すること。
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